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第3回コピー武者修行

 

コピーライターの清水です。

 

令和初のコピー武者修行。GWで少し空いてしまいましたが、ネジを巻き直して取り組みたいと思います。なぜ公開までに間隔が空いたかというと、今回の審査員が課題に関わる方で、その方が繁忙期だったからです。まずは、企画の説明に入りましょう。

 

今回は『SKAT.17』より「霧ヶ峰Style FLシリーズ」。三菱電機の霧ヶ峰といえば空調の代表格。TVCMでもおなじみですね。

 

オリエン

 

常識破りなエアコンにふさわしい、常識破りなアイデアを募集します。

キャッチコピー一覧

 

1. エアコンを、ちゃんと見たことなんて、なかった。
2. はじめて、エアコンを見た目で買った。
3. 鑑賞できるエアコン。
4. 黒子のようなエアコンばかりでした。
5. 高級感の「感」って、風のことだったんだ。
6. エアコンの主役は、風だと思ってた。
7. お宅のエアコンは、ちゃんとクールですか。
8. あえて空気を読まないエアコンです。
9. 他の家とは、ひと風ちがう。
10. 家に来た友達は、まだオブジェだと思っている。
11. あれ、お前の家、エアコンどこ?
12. エアコンは、空気のような存在をやめた。
13. このエアコンは、家具だ。
14. 霧ヶ峰くん、なんか雰囲気変わった。
15. エアコンを、部屋に飾った。

審査員の判定

 

今回の審査員、なんとこの「霧ヶ峰Style FL」の設計に関与した方。間近で本製品の誕生の過程を見てきました。そんな審査員さんが、僕の書いたコピーを読んでどう感じたか?以下に評価LINEを掲載しします。

 

全体的に手厳しい!!ただ、今回非常に勉強になったことが何点かありましたので、以下に気になった講評を挙げてみます。

 

1. エアコンを、ちゃんと見たことなんて、なかった。
に対して「ちゃんと見ない人が買う価格ではない」という公表がついています。16万円の製品だから当然その通りです。しかし、僕の中にはエアコンは目立たないものという意識もありました。
どの家にも、どのオフィスにもあるエアコン。エアコンをまじまじと見ることは、僕にはありませんでした。しかし、メーカーの立場にしてみれば、毎日見ているものだからこそ、「ちゃんと見たことなんてない」とは言って欲しくなかったのではないかと思います。

 

5. 高級感の「感」って、風のことだったんだ。
このコピー、見返すと何が言いたいのかよくわかりません。おそらく書いた当時、高級になると出てくる風(機能)も変わる…ということを考えたのでしょうが、小手先の工夫ではメーカー自身に不快を与えることすらあります。それがよくわかった1本でした。そもそも高級感という言葉自体、本来「高級」でないものへの目くらまし的効果を持っていますから、言葉自体への意識が低かったかもしれません。

 

8. あえて空気を読まないエアコンです。
こちらも、「エアコンは目立たないもの」という固定観念があったので、本来空気を読むはずのエアコンが、ボルドーレッドを配したことにより「あえて」空気を読まない目立つ存在になるということを意図していました。しかし、当然ですが空気を読まないのは事実に反します。このため、エアコンが空気を読まないはずない、という(ある意味避けられた)指摘を受ける結果となりました。

 

13. このエアコンは、家具だ。
興味深かったのは、この1本への「どのエアコンも家具だ」というコメントでした。たしかに、家具と家電を分ける境界線は、電気で動くかどうか。いや、家で用いる生活器具が家具ならば、家電も家具だよなと感心しました。家電メーカーは、家具を作っている。この知見は大変深いものがありました。彼らのインサイトを探る上で、これ以上ない収穫だったのではないでしょうか。

 

課題の分析

 

「霧ヶ峰Style FLシリーズ」を世の中に広く伝えるための、
常識や固定観念にとらわれない自由なアイデア。

 

課題文からは霧ヶ峰のことが何一つわかりません。したがって、まず霧ヶ峰について調べる必要があります。この事前調査、今回は怠っていたと思います。講評以外で「霧ヶ峰の価格知ってます?」と言われてしまいました。確かにその通りで、霧ヶ峰に対する理解も、霧ヶ峰を買うという想像も足りていなかった。反省です。

霧ヶ峰Style FLシリーズを買うとしたら、いくらぐらい掛かるんでしょうか?10畳の部屋にちょうどいいサイズで、約16万円でした。別のメーカーの製品に比べて、約4万円高い価格設定です。エアコンでは最高級の部類ではないかと思います。当然、この製品を購入するのは富裕層、それも高級志向の人々なのではないでしょうか。

https://www.mitsubishielectric.co.jp/home/kirigamine/special/newsfl/index.html

主な購入層のインサイトを察するに、大体以下の傾向を持っていると考えました。
・高価格帯の製品を購入したい
・高性能は当たり前
・より新規な製品を求めている
・家具に対してデザイン性を求める
・ベストオブベストな家電を置きたい

 

このような人を想定してコピーを書いてみた次第です。ただし、今回のコピーで完全に間違っていたのは、エアコンという家電(家具)に対する「まなざし」でした。エアコンは目立たない存在ではなく、むしろ本来部屋をデコレートする上で邪魔になりがちな存在でした。その存在感を減らすべくメーカーは努力してきたわけですが、そんなエアコンが今回美麗なデザインで、むしろ部屋の主役たりうる存在にとして登場したという背景がありました。

 

まとめ

 

今回の課題は霧ヶ峰設計に関わった方が見てくださったので、メーカー側の意見を知ることができました。予想以上に自分の目線と乖離があって、個人的には大反省の回でした。もっとクライアントの目線にも思いを巡らして、これからの制作に活かしていきたいです。またこのような機会があればと思います。

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