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第2回 コピー武者修行

 

コピーライターの清水です。

 

コピー力強化企画、第2回は『SKAT.17』からセントラル警備保障の課題に取り組みます。セントラル警備保障は、JR東日本グループの警備会社で、来日したビートルズの警備を担当したことで知られます。最新鋭の画像システムや、ICカード入退室管理、児童が改札を通過した時に保護者にメールが届く「まもレール」などの技術を活用しながら、顧客満足度No.1の警備会社を目指しています。

 

審査員の判定

 

経理担当者(Hさん)に、16本のコピーの中から共感できるコピーと共感できないコピーを最大5本ずつ選んでもらいました。臨場感が出るとおもうので、以下に選んでもらった時のやりとりも貼っておきます。LINEで講評が漏れたものもありますが、それらについては口頭で伺いました。

 

●共感できるコピー

2.想像してごらん。警備員のいない世界を。

6.セコムが日本を守っている間、セントラルはあなたを守ります。

11.右目は優しく、左目は厳しく。


12.安心のどまんなかに、セントラル。


15.彼氏を呼びますか。セントラル警備保障を呼びますか。
→頼れる感じがして良い

 

●共感できないコピー

5.笑顔は、抑止力だ。
→笑顔だけではダメ

7.警備会社にも、「ちょうどいいサイズ」がある。
→ちょうどいいサイズは人による
8.警備とは、コミュニケーションだとおもう。
→コミュニケーション
9.親に紹介したい警備員がいます。
→老人が対象では

 

オリエン

 

コピーをご覧いただいたところで、オリエンの分析をはじめとした理論面の検討に入ります。

当社の営業エリアは「首都圏と関西圏」が主体です。札幌・仙台・名古屋・広島・福岡等に支社がありますが、他の地域では地元の有力警備会社との提携により、自社サービスを展開しています。単独での全国展開ではありませんので、全国区での認知度はいま一つ。そんな当社の悩み「全国での認知度アップ」を実現してくれるアイデアを募集します。

課題の分析

 

課題を単語単位に分解します。

当社の営業エリアは/「首都圏と/関西圏」が/主体です。札幌・/仙台・/名古屋・/広島・/福岡等/に支社がありますが、/他の地域では/地元の有力警備会社との提携により、/自社サービスを/展開しています。/単独での/全国展開ではありませんので、/全国区での/認知度はいま一つ。/そんな当社の悩み/「全国での認知度アップ」/を実現してくれるアイデアを/募集します。

適宜スラッシュを入れて単語を細かく見ていくと、「単独での全国展開ではない」「それでも全国区の認知度がほしい」という課題感がみえてきました。

 

次に「セントラル警備保障」のベネフィットを考えますが、その前にちょっとズームアウトして「警備員」の存在意義を考えてみます。

警備員って、何で存在しているんでしょう。警察ではないので拳銃はおろか手錠も持っていません。かろうじて警棒は持っていますが、あれは制圧に使えるような硬い素材ではないそうです。つまりほぼ丸腰です。だから、犯罪者を捕まえるという機能では一般人とあまり変わりません(元格闘家など個人差は考慮せず)。よく目にするところだと、オフィスビルの巡回や、ATMの現金回収あたりではないでしょうか。これも、いかつい社員でも可能な気がします。でも、警備員がいる。代替可能なようにみえて、警備員でしか不可能なことがあるのです。考えみたところ、警備員には以下のような意義がありそうです。

・見回り─見守る─人がいる安心感
・警察じゃない─いかめしくない─疑うより寄り添う
・第三者─派遣─フラットな対応

警備員は、探したり捕まえたり懲らしめたりする機能よりも、寄り添ったり安心させたりする機能が求められていそうです。施設に訪れる人の中には利用者もいれば犯罪者もいます。そこで求められるのはフラットな対応。そういう意味では、顧客満足度に着目した経営をしているのは正解なのかも知れません。

さて、警備員の存在意義がみえてきたところで、セントラル警備保障のベネフィットを考えてみます。第一に考えなければならないのは、競合大手のセコムおよびアルソックの存在。セントラル警備保障がアピールしなければならないのは、2社にはない固有の素晴らしさです。思いつくことを列挙してみます。

・JR東日本グループ─裾野が広い─地元駅にいる
・ビートルズの警備─隠れた功績─ビートルズと同じくらい大切に警備?
・顧客満足度の追求─身近な存在
・幅広いセキュリティ事業─まもレール、マンションセキュリティ、ICカード入退室管理、最先端の画像システム

 

キャッチコピー一覧

 

最後に書いたものを全部載せます。(選ばれなかったものは太字)

1. 鈴木さんは、セコムを選んだ。ビートルズは、セントラルを選んだ。
2. 想像してごらん、警備員のいない世界を。
3. お隣さんより身近な警備員をめざします。
4. 警備員は、サービス業です。
5. 笑顔は、抑止力だ。
6. セコムが日本を守っている間、セントラルはあなたを守ります。
7. 警備会社にも、「ちょうどいいサイズ」がある。
8. 警備とは、コミュニケーションだとおもう。
9. 親に紹介したい警備員がいます。
10. 手広い警備より、手厚い警備だとおもう。
11. 右目は優しく、左目は厳しく。
12. 安心のどまんなかに、セントラル。
13. 人当たりの良さ、という警備技術に長けている。
14. 無人島に持っていきたい警備会社。
15. 彼氏を呼びますか。セントラル警備保障を呼びますか。
16. 彼氏以上、警察未満。

 

まとめ

 

第2回で得られた学びは以下の2点。

・警備員は安心を与える存在
・人によって解釈が分かれる表現は読み手に見抜かれる

今回ちょっとおもったのは、共感できるコピーより、共感できないコピーより、素通りされたコピーが一番悪いコピーなんじゃないかってことです。届けるのがコピーの役目なのに、届かなかったわけですから。

 

これを読んだあなたも、ぜひキャッチコピーに挑戦してみてください。

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